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生きるための「決意」の一枚
或る日突然、乳房のしこりに気づき、もしくは検診で腫瘍がみつかり、その数週間後に乳がんと診断を受けたうえに、手術で女性のシンボルとなる胸を切除すると言われたら、どれだけ衝撃的で受け入れ難いことでしょうか。そのストレスを緩和するにはどうしたらいいのでしょうか。『人生。女性。そして命』。乳がんとは、女性にとって、ただならぬ病気であり、またその治療です。気持ちは負けたくない。でもくじけそう。世間では、芸能人が乳がんで亡くなった報道が騒がれますが、患者にとっては恐怖心を何倍も掻き立てられてしまいます。温存か、全摘か。何がベストなのかもわからない状況の中をさまよいますが、最終的な意思決定は患者自身に求められます。このような先が見えない恐怖期間を乗り越えなくてはならない方々の心を支える、新しい民間ヘルスケアビジネスモデル『乳がん専用の撮影スタジオ、ブレストキャンサーポートレート』が、誕生した経緯や効果を今回は紹介させていただきます。
岸 あさこ KISHI ASAKO
ゴーウィ株式会社 代表取締役
生きるための「決意」の一枚
皆様こんにちは。岸あさこです。
生きるための決意の一枚。
皆様これはどんなことだかおわかりでしょうか。
今日はこの生きるための決意の一枚についてお話させていただきます。
よろしくお願いいたします。
私は2017年の11月に自分で乳房にしこりをみつけました。
そして2018年の1月に乳がんの手術を受けたんですけれども、この二か月間が心のダメージがあまりにも大きすぎました。
不安ですとか、恐怖、だけでなく、孤独にも陥ってしまいました。
その、大きな理由は三つありました。
一つ目は、あまりにも突然人生に舞い込んできた乳がんを発症したという事実とその説明です。
岸さんの病理のがん細胞は顔つきが悪い、ですとか、10年生存率の話ですとか、すごく珍しくて初めて見るケースです。という風に言われたり、
また、研究論文に使いたいので同意書にサインをしてほしい。こんな風に言われました。
また、セカンドオピニオンでは、死亡した症例の英語論文を二つ渡されました。
これはもうどう考えても岸さんはお亡くなりになります。
そんな風に言われていると。そんな風に感じました。
二つ目の理由は2017年と2018年は芸能人で乳がんでお亡くなりになった方のニュースが後を絶ちませんでした。
私は実は怖くて、まだ見ていないんですけれども、でも、インターネットやテレビや書店にいってもそういった情報が沢山あふれていて、乳がんは死ぬ病気、そういったイメージがどんどんどんどん膨らんでいってしまったのです。
ですので、岸さんは死ぬ人みたいに思われたくなかったので、知人ですとか、友人になかなか話すことができませんでした。
そしてどんどんどんどん孤独に陥ってしまいました。
また、三つ目の理由としては乳房を切除することとは女性らしさの損失でもある。という風に思ってしまいました。
全摘手術にしましても、部分切除にしましても、どちらにしましても、今の自分の姿を失ってしまう。
そんな風に恐怖におびえました。
私は、大きく切り取ることは選択できずに、部分切除を選んだんですけれども、そして、無事に手術をおえて、リンパへの転移も認められずに、幸いにも本当に良かったんですけれども、でもそれで終わらずに、抗がん剤治療や放射線治療を受けることになりました。
この、抗がん剤治療や放射線治療はものすごくつらい副作用を伴います。
そして、この副作用で、体が思うように動かなくなってしまいました。
その時にはものすごく色々なことを頭の中で考えました。
なんで生まれてきたんだろう。ですとか、なんでいきているんだろう。とか、死ぬんじゃないか。とか。
あとは主観的に自分を見つめたり、客観的に見たり、そんなことを頭の中でぐるぐるぐるぐる考える時間が沢山ありました。
それと同時に患者の視点で乳がんの患者の方々がこういった最初に抱える強い恐怖や不安や孤独を防ぐ方法はないんだろうかとそんな風に考え始めました。
すると、多くの乳がんの患者の方々が手術の前に自分の胸をスマートフォンでセルフで撮影している。
そんなことに気が付き始めました。
そして、よくよく聞いてみると実は洗面所の鏡の前で自撮りをしました。
とか、手術の後にはつけられないかわいいブラジャーをつけて自撮りしました。
とか、あとはお風呂に入った時に毎日毎日ありがとうって感謝して洗いました。
とか、授乳してくれた胸に本当にありがとう。って感謝しました。
こんな同じような声が沢山聞けました。
そして、この写真撮影は究極の生きるための決意の一枚の表明である。
そんなふうに分かりました。
そこで私は質問しました。
その、自分で撮っている写真、カメラマンに高画質の写真を撮ってもらったらどうでしたか。
そんな風に聞いてみました。
すると、実は探した。そんな声が沢山上がってきました。
でも実現していなかったです。
理由が、安心できるカメラマンを探すことができなかった。
探す心の余裕が全然なかった。
カメラマンに事情を説明することがとてもできない。
また、ヌード撮影の扱いとされてしまうのが、すごく嫌。
ですとか、あとはその写真のデータの扱いに不安がある。
こういった声が沢山上がってきました。
また、私が抗がん剤治療を受ける前に、ある一人の女性に出会いました。
彼女は全摘手術を受けて抗がん剤治療が終わったばかりの状態でしたが、とてもあかるくて、元気にいきいきと仕事をしていたのです。
私はその彼女の姿をみてものすごく勇気をもらい、また、希望だとか、パワーをもらった。
そんな風に感じました。
こういった経験をまとめますと、手術の前はとても強い恐怖や不安、孤独を感じている。
そして、皆さん手術の前に決意の写真撮影をセルフでスマートフォンでしている。
そして、同世代の治療の経験者に合うことでものすごい勇気やパワーをもらえる。
こんな三つの大きな要素を見つけることができました。
そして、私はこれをどうにか社会に活かせないかそんな風に考えるようになりました。
そして、この不安や恐怖、孤独を解消できるように乳がんの経験者がこれから治療を受けられる方が前向きになる決意をサポートしてくれて、そして安心して信頼ができて、きれいな一眼レフで高画質な写真を残せるサービスを提供する。
そんな専用のスタジオを作ることに決めました。
そして、ものすごくたくさんの方に相談させていただきました。
また、今年はクラウドファンディング もプロジェクト実行して、無事に成立することができました。
そして、今、東京都内にこういったスタジオを設けることができまして、で、こちらの空間はですね、ものすごくあの、光が入ってまた、明るい色調の家具を置いて、そして観葉植物を置いたり、お紅茶を出したり、アロマオイルをたいたり、病院ではなかなか流せないようなポップスやジャズを流して、しんからリラックスできるような、そんな環境を作っています。
そして、生きるための決意の一枚を撮影しています。
もちろんフォトグラファーは乳がんの経験者です。
ただ、写真を撮影するだけではなくて、不安を聞いて共感したり、エールを送ったり、そんな場になっています。
皆さん、写真を撮る前はものすごく神妙な表情をしているんですけれども、写真を撮り終わる頃にはもうすごく笑顔になって、そしてそういった前向きな気持ちになって帰っていかれます。
こちらは、一番最初に撮影を受けられた方からの感想なんですけれども、手術前は本当に怖かったし、不安だったけれども、あの撮影の時間を過ごしたことで思い残しをなくし、前に進む決意や勇気を倍増させてくれたのだと思います。
そんな風に言ってくださいました。
これからも、乳がんの治療のはじめの一歩が、少しでも皆さんの笑顔になれるように応援して活動していきたいと思います。
本日はご清聴ありがとうございました。
【テキスト化】きい