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地域にあるがんに影響を受ける人たちの〝居場所〟 〜少しの〝お節介〟と程よい〝つながり〟〜
私はがん患者であり、がん患者の家族であり、がん患者の遺族であり、そして看護師です。
自分ががん患者になった時、世の中に色が無くなりました。胸に大きな石を抱えたようでした。医師の夫が末期の胃がんになった時、夫を想うつらさと遺される家族の立場で悩みました。私たち夫婦は仲間と共に「がんになってもひとりの人として自分を取り戻せる場所」をつくりたいと活動していましたが、実際に人とのつながりや支え合いが何よりも大切だと痛感しました。
病院と自宅の間にがんを抱えた人が気軽に立ち寄れる場所があったらどうでしょう。そんな場所が元ちゃんハウスです。
…困ったときには元ちゃんハウスで話を聞いてもらいたいと思っています、私達がそうでしたから。病院では本音は話せません。物わかりの良い患者でいたいのです。でも、嫌なものはいやなんです。心の中は愚痴や負の思いばかりなんです。正論を聞きたくないのです。患者になってしまいましたが、患者でいたくないのです。ひとりの人として今までと同じように、社会と繋がっていたいのです…。
そんな思いを持って、元ちゃんハウスで毎日、おしゃべりや相談を受けながら少しでも笑顔になって帰ってもらえるように、小さなおせっかいを続けています。元ちゃんハウスは地域にあるがんに影響を受ける人たちの〝いばしょ〟です。
西村詠子 Nishimura Eiko
元ちゃんハウス 代表 / 認定NPO法人 がんとむきあう会 理事長