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不要な薬をへらすには
薬剤の処方は患者の状態を改善するためのものであるが、高齢化に伴って生じたと思われる症状が、実は薬によって引き起こされたものである例は稀ではない。 年をとったから手が震えたり、歩きづらくなるのは仕方ない、と思っていたら薬をやめたとたんに綺麗に症状がなくなった、長年使っていた薬を半分にした途端に問題行動がすっかり消失、という話はよく聞く。 医療安全面、医療経済面、何より患者のQOL向上を目指し、処方の適正化を考える必要がある。 我々の病院では、入院中に高齢者の薬を見直し、整理を進めているが、折角入院中に整理しても、退院後に地域の医療機関に戻ると、元の木阿弥になってしまうこともしばしばである。 昨年来、高齢者の「残薬」の問題がクローズアップされており、飲みきれない薬による問題点ばかりが強調されている感があり、むやみに薬を減らすことは厳に慎むべきではあるが、病院と地域のコミュニケーションの重要性を痛感する。
平井みどり
神戸大学医学部附属病院