佐藤伸彦: わたしは「ものがたり」で、できている

  • 内容:Contents
  • プレゼンター:Presenter
  • テキスト:Transcript

わたしは「ものがたり」で、できている

「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」
フランスの画家、ポール・ゴーギャンの作品である絵画の題名です。
私も同じような答えのない問いを考え続けてきました。
今年で65年という人生が過ぎ去って思うことは、終生一貫し、固定化され、立ち止まった静けさの中にある「何者か」は存在せず、他者に開かれた無限の関係性の中で常に姿、形を変え、一瞬たりとも立ち止まらなく変化する動きのある大きな集合体としての「何者か」が存在するのです。その「何者か」に私は、知らず知らずに「ものがたり」という名をつけていたのだと思います。
陰陽道の安倍晴明の言い方を借りれば「ものがたり」という「呪をかけた」のです。「呪」(しゅ)とは呪いの意味ではなく名前をつけることによって形のないものを第三者が言葉(言霊)によって縛ることを意味します。約25年前にナラティブホームという造語を作り、ものがたり診療所を開設し、最近ものがたりの街を作った歩みは、止まる事を知らない「ものがたり」でした。そしてこの「ものがたり」の変化を書き記していくということが、生きる、ということの意味であると思います。
「ものがたり」の扉が開き、お互いが語り合い、読み合い、分かち合うことによって「ものがたり」がさらに深く豊かに書き換えられていく、それがケアということ
です。

あなたも「ものがたり」で出来ている。

佐藤伸彦

ものがたり診療所 所長

わたしは「ものがたり」で、できている

関連プレゼンテーション

  1. 田中志子:運転免許と認知症―

    田中志子:運転免許と認知症―

  2. 斉藤祥子: 外国人医療の現状-国際看護師・医療通訳として

    斉藤祥子: 外国人医療の現状-国際看護師・医療通訳として

  3. 杉村寿重:"健康マインドマップ"でイキイキ高齢者

    杉村寿重:”健康マインドマップ”でイキイキ高齢者

  4. 高瀬比左子:あなたもカフェをはじめませんか?

    高瀬比左子:あなたもカフェをはじめませんか?

  5. 西村詠子

    西村詠子: 地域にあるがんに影響を受ける人たちの〝居場所〟〜少しの〝お節介〟と程よい〝つながり〟〜

  6. 近藤克則: 健康格差の縮小は可能か?〜20年かけてわかったこと