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日本人の足の未来を考える
私は透析室で看護師として働いています。
足の血流低下から足を切断する患者が多く、予防的フットケアの必要性と「足」そのものの知識の不足を感じ、院内認定のフットケアナース研修を受け、足病予防のためフットケア活動をしています。
足病はなぜ起こるのか、足を守るためにはどうすればよいのかを学んでいくうちに、欧州・欧米にある足の教育が日本にはないこと、靴の選び方や履き方の重要性と、自分自身を含めた日本人ならではの足への健康意識の低さを感じるようになりました。
今回のプレゼンでは、なぜ日本人の足への意識が低く、多くのトラブルを抱えていることにさえ気づいていないのか、そして子供のころから足を育て、足を守る意識を持つことで、日本人の多くの人々がより健康に、より世界に羽ばたけるのではないかという展望を伝えたいと思います。今までの日本人の足の常識が変わり、日本人全体が足を育て、守ることが普通になる社会を目指して、応募します。
小椋純子 OGURA JUNKO
東葛クリニック病院 看護師
日本人の足の未来を考える
こんにちは、小椋純子です。よろしくお願いします。今日は、えー、今日の私のテーマは「日本人の足の未来を考える」です。なぜこのテーマにしたかといいますと、私は千葉県松戸市にある東葛クリニック病院で透析室の看護師として働いています。透析患者に多い足病ってご存じの方いますでしょうか?重症化すると足の切断にまで至ります。この足病を予防したくてフットケアナースとして活動しています。足について学んでいくうちに日本の社会には足や靴の教育がないこと、足に良くない習慣が常識となっていることを日々実感し、少しでも正しい足、靴の知識を広めたいと思って今日はこのプレゼンに参加させていただきました。
日本の足の教育・医療はアメリカやヨーロッパに比べ100年遅れていると言われています。さて、日本人の7割が偏平足であると言われています。甲が高い人は2割、正常な足の人は1割しかいないそうです。自分も偏平足だ、という方ちょっと手を挙げてみてください。はい、いらっしゃいますね。ちょっと恥ずかしいですけども安心してください。私も偏平足です。こんなに多いんだからみんな一緒で安心してしまいそうになりますが、今日はなぜこんなに多いのかを考えていきたいと思います。
人間の足は地面と接する唯一の部位です。足の裏の小さな面積だけで体を支えています。偉大な芸術家で解剖学の知識も持ち合わせていたレオナルド・ダ・ヴィンチは、足は人間工学上最大の傑作であり最高の芸術作品であると言っています。しかし人間は生まれた時から立派な足を持っているわけではありません。人間の足は3つのパーツで衝撃を分散し、足を衝撃から守っています。足のアーチは赤ちゃんが歩き始めてから発達が始まり、9歳ころまでにほぼ骨の形は決まってしまいます。子供のころから足を育てる意識を持つという事が大切なんです。基本はよく運動し、足に合った靴を選び、靴を正しく履くことです。
正しい靴の履き方を確認していきます。靴は座って履きましょう。そして踵を軽くトントンと合わせ、ひもやベルトをしっかりと締めます。そうすることで指先に空間が生まれ、足が靴の中でずれません。靴選びのポイントです。靴を正しく履いた状態で、指先に1センチ程度の余裕があり足の甲をひもやベルトでぴったりと調節できるもの。踵は硬めの芯があって足にフィットし履き口がくるぶしに当たらないもの。足の幅は広すぎず靴底に適度な厚みがあり、指の位置でしっかりと曲がるもの。そして足のアーチを支えるものです。この正しい靴選びと履き方を踏まえたうえで日本の足を、足と靴を取り巻く現状を見ていきます。
日本は靴を脱ぐ生活スタイルのため、脱ぎ履きしやすい靴を選ぶ傾向があります。せっかく足に合った靴を買ってもひもを緩めて履いていればぶかぶかの靴を履いているのと同じなんです。そして子供の足は成長が早く大きめな靴を選ぶ親が多いのです。靴がきつくなっても子供の足の骨は柔らく少しくらいの痛みがあっても履き続けてしまいます。
そして子供は多くの時間を学校で過ごしています。学校の下駄箱を思い浮かべてください。座って靴を履くスペースなんて見当たりません。保育園では座って履いていた靴も、小学校の先生が入学するまでに立って靴を履けるようにしてと保育園に要望を出すことも珍しいことではないんです。子供たちは急いで足を靴に入れて、つま先とトントンとして踵もつぶしてしまいます。
そしてなんと言っても上履きです。まっ平らなゴム底で足を支え守る機能は全く見当たりません。この上履きを私たち日本人は履いて育ちました。そして指が浮いている浮指の子供も増えているそうです。子供だけではありません。日本人の男性の6割、女性においては8割が浮指であるという調査結果があります。指が浮くことで踏ん張る力が低下し全身のバランスが崩れます。膝や腰、肩や首、頭にまで痛みが出たり、転倒のリスクが高まります。2016年、転倒による死亡事故件数が交通事故の死亡件数を上回っているそうです。
皆さんの身近に小さなお子さんはいませんか?子供の足を守りたいと思いませんか?私は考えます。もし日本人に足を育て靴を正しく履くことが常識となったら、社会で子供の足を育てる環境を整え大人も自分の足を守るようになったらと。オリンピックで活躍を期待されるような素晴らしいスポーツ選手がもっと増えて、もっと活躍するのではないか。日本人の寝たきりや転倒予防につながって、もっと健康寿命が延びるのではないかと。日本でも足の教育が始まろうとしています。まずは小学校の先生や保育士、医療スタッフへなる人への教育カリキュラムに組み込まれていくことが決まっているそうです。
今日この話を聴いて足や靴に興味を持ってくださった方がいましたら、ぜひ身近な方にも伝えて実践してください。一緒に日本人の足と靴の常識を変えていきましょう。ご清聴ありがとうございました。
このプレゼンテーションは動画をもとにくるまさんがテキスト化をしてくれました。
くるまさんからは次のメッセージを頂いています。
「下駄箱や上履きなどの昔からある習慣が、
くるまさん どうも有り難うございました。