小澤いぶき:未来の豊かさを創っていくための社会処方箋

  • 内容:Contents
  • プレゼンター:Presenter
  • テキスト:Transcript

未来の豊かさを創っていくための社会処方箋

例えば、急に仕事がなくなったり、 急に病気になって外に出られなくなったら、 例えば孤立したら。 私たちが、今は起こっていないかもしれないことも、明日起こるかもしれないこと。 精神科を経て、児童精神科として臨床に携わる中で、関係性、経済的、健康、様々な格差の中で生き抜いている人たちに出会いました。 その方たちの物語を聞く中で、それは他人事ではなく、誰にも起こりうることなのではないかと感じてきました。 同時に、誰もに、コンタクトパーソンのような、安心と信頼とネットワークがある他者との関係があるというのがインフラになっていくこと、 そのインフラの上に新しい社会の処方箋を作っていくことが、これからのメンタルヘルスケアに必要なのではないか、 そして、何かがあっても何とかなるこれからの豊かさの基盤につながるのではないかと感じ、今の活動に至っています。 関係性の格差、つまり孤立は健康格差にもつながり、虐待の体験はその後の人生に影響を及ぼす。一つ一つの課題は、切り離すことができない、 複雑に絡み合った課題です。そして、その課題や社会の歪みにより、真っ先に困難に陥りやすいのは、 実は、こどもだったり、 弱者と言われている方である可能性があります。 困難は、目に見える困難さだけではありません。心の傷であったり、そのことを誰にも理解されず、尊厳を奪われていく中での絶望であったり、 それを誰にも話せずに生き抜いている力とともにある、孤独感だったり。 私たちは誰もが弱さを持っていて、それを前提にした社会を作れる強さも持っているのではないかと思います。 誰もが、弱さを持っていると考えた時、今弱者と言われている方々を、支援するという視点だけでなく、 その方からの物語に耳を傾け、そこから見えて来る社会の構造的課題と、今の社会にある健康的な資源や可能性とを組み合わせて、 多分野の人(医療福祉教育分野の人だけでなく、現場の人、子供若者、多分野の専門家や、研究者、企業、アーティスト、デザイナー、エンジニアさんたち)とともに、 これからの未来に必要な、地球の幸せと継続性を、そして、人の幸せを作っていくような新しい処方箋を一緒に作っていけたらと思っています。

小澤いぶき

NPO法人PIECES 東京大学先端科学技術研究センター

未来の豊かさを創っていくための社会処方箋

関連プレゼンテーション

  1. 角田真住

    角田真住:髪を失った女性に笑顔と自信を

  2. 宿原寿美子:~Hand in Hand~ 死化粧師の立場から想う事。

    宿原寿美子:~Hand in Hand~ 死化粧師の立場から想う事。

  3. 日原美穂:「本当は不安でした」~食事介助教育が介護のプロを生む~

    日原美穂:「本当は不安でした」~食事介助教育が介護のプロを生む~

  4. MED Japan 2018 特別講演 生命論パラダイムの時代 − 21世紀、人類の文明は、どこに向かうか − 田坂広志 多摩大学大学院 教授 田坂塾 塾長 シンクタンク・ソフィアバンク 代表 世界賢人会議The Club of Budapest日本代表

    田坂広志

  5. 横山雄士:悔いを残す最期にするな

    横山雄士:悔いを残す最期にするな

  6. 宮地貴士:ザンビア共和国に命の灯を~診療所建設に向けた学生たちの挑戦~

    宮地貴士:ザンビア共和国に命の灯を~診療所建設に向けた学生たちの挑戦~