山田桐絵:37.1℃の言葉

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37.1℃の言葉

ここに抄録入る

山田桐絵

山本記念病院

37.1℃の言葉

ご紹介ありがとうございます。山田桐絵です。

37.1℃は4検した私の体温です。

わたしうっかりしてるので、ぽーっとなって熱くなったり、仕事の無力感で身体が冷えたり…

また今日みたいに胸を熱くしたり、私の体温は、少し高めです。

 

まずは、趣味の話から失礼します。

この絵は、一筆書きです。ロープ一本でできています。書いているのは彼です。

デザイン画を基に、下絵なしでロープ一本で描いて行きます。彼は元々画家なんですよ。

それを私が、高い位置から固定カメラで撮影し、早回しで編集してYouTubeにUPしています。

それでは、画伯とねえさん2人で作った動画作品をちょっとご覧下さい。(動画)

ありがとうございます。(拍手)おーここで?まだあんまりしゃべってないから。まだ。(笑い声)

あの、拍手を下さった皆様、帰ったらYouTubeで検索して下さい。

撮影場所は、みなとみらい地区にある練習帆船日本丸のデッキです。

私と画伯は、この船のボランティアに登録しています。

ボランティアは、マストに登る、ヤードに渡る、セールを解いたら、またデッキに戻って来て、ロープを引きます。するとセールが、下から順番に上がっていきます。

全ての帆を展開する総帆展帆。冬を除く年間約12回実施しています。

もちろん高所作業で大変危険です。私も一番高い所まで登ります。それにデッキでは過重のかかったロープを扱います。そのため、私達は事前に、訓練受けて、合格して、登録しています。

総帆展帆は例えるなら学校みたいです。子供の時、学校に行くと必ず友達に会えました。

そしてロープ絵は放課後の部活です。部活の帰りに先輩と寄り道をして、休日は彼の部屋。

大人になるとこういう出会いや場所がなかなかないでしょ。

 

仕事の話です。(笑い声)

これは、2013年日本静脈経腸栄養学会で私が発表したスライドの1枚目です。最後はこれです。

聞きに来て下さった方、ありがとうございました。ですけど、これは、結果の解釈に、大変考察に悩みました。効果があったのか、なかったのか、私は、栄養で患者を治療できたのか。あれからセミナーを何回か色々受けるうちに、やっぱり私以外の栄養士さんだったら、もっと有能な方だったら、他にやりようがあったんじゃないかと、すごい、まだちょっと残っている演題です。

医療での私は、治療の結果とか医業収益とか結果やデータに捕われて、時々すごくかっこ悪いほどネガティブなんです。

それに病院は、その、お医者様とかの前で言い難いですけど、職種で上限関係が決まるっていうか、私、管理栄養士ですし、理不尽な力を感じる時があります。

遊ぶ事に理由はいらない。楽しいから遊ぶ。

わたしにとってプライベートの充実は、心のもつれが解ける場所です。

自分の社会の役割を見失いそうになっても、途中のプロセスや志を思い出して、私は私でいいんだ。自然に帰って行く場所です。それに、これだけのメンバーです。80人以上います。

この多様なコミュニケーションの中から私の中の多様性にも気がつき、新しいアイディアが生まれて、ロープ絵の動画作成は誕生しました。それまで、私、動画の編集なんてやったことがなかったんです。医療の現場にいると自分にはそのつもりはなくても、結果的に閉鎖的になってしまうことがある。だから、違うタイプの人と接すると自分の中から違うものが引き出されてきて、視点が広がっていきます。

その一例をご報告致します。

彼の中から違うものが引き出され、(笑い声)私のアイディアは炸裂。

症例報告以上です。(笑い声)次に進んでいいですか。(拍手)

 

あの、あたしのセレブなお友達です。東口高志先生です。ま、こっちも東口高志っていうんですけど。(笑い声)あ、でも、セレブはこっちよ。

で、そのセレブなんですけれど、第18回日本緩和医療学会を大成功に納めました。

そのご苦労を私達少しだけ知っています。

だから、ありがとうってお礼メッセージを本人にこっそり送って驚かせました。

この大物に、東口高志に仕掛けるドッキリ。

皆でやれば恐くない。しかも、一度やると…また、やりたい。

今回のMEDってとても豪華なメンバーで驚かれませんでしたか。あたしも驚きました。まさかこのメンバーにあたしみたいな無名な管理栄養士を放り込むと思いませんでした。ほんとに驚きました。あたしがどっきりやられた気分です。これみたいな感じ。

でも、そのスリリングな達成感もだけど、これをやっている時はすごい楽しかったです。

もうグッチーを喜ばせたいんです。貴方が嬉しいと、私も嬉しい。

 

胃瘻の是非を問うという話題がありましたが、私は慢性期病棟のある病院に勤めています。

経口摂取不良でも輸液も経腸栄養も望まない…っていう選択に出会います。

だから、だんだん落ちて行って、褥瘡が出来て、回診の時に、「身体動かしますよ」って声をかけると、まだ、返事が出来るとか、

がんの発見から進行までが早くて、受け入れ先を探す間に、療養床の相部屋で亡くなっていく方とか…

口説く人っていませんか。病棟で。後遺症でろれつのまわらぬ舌で一生懸命に寿司を食べに行こうとか、退院したら寿司を食べにいこうって、退院…できないのに。

生まれてくる時はあんなに祝福されるのに、終わり方はシビアな命。

私は向き合うのになかなか慣れません。ですけど、私は患者に必要な医療職でありたい。

遊ぶ事に理由はいらないけれど、この仕事をしている理由がある。

だから、楽しいとか、嬉しいとか、私達が生きる喜びを感じていないとこの仕事はできないと思うんです。

 

好きな人はいますか。例えばの話なんですけど。

今日ここに来て、会いたいと思ってた方にもうご挨拶は済ませましたか。

ここでちょっとお礼を言わせてください。

写真で協力してくれたお友達の皆さん。ありがとうございます。

仕事とか会議とかパブリックな場面ではプライベートで発揮していた貴方の個性を閉じ込めて消そうとしてしまうけれど、あなたはあなただから。

良い風がふく時も、辛い風に煽られる時も、さっきのみんながいます。

 

さて、皆様、私の話はそろそろ終わりです。

次は、皆様がお聞かせ下さい。

あなたの言葉が私を温め、今日をたっぷり楽しんだら、私はまた明日から病棟へ。

皆様、今日は楽しい懇親会が用意されています。(笑い声)

多様なコミュニケーション、たぶん人はそれなしには生きていけないと思います。

以上です。(拍手)ありがとうございます。

 

<文責:小林明子 公立大学法人福島県立医科大学会津医療センター附属病院 管理栄養士>

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